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小ネタ 上琴バカップル合体攻撃 謎の敵「ふはははは!もうお終いか?」上条「くそ・・・・」美琴「まずいわね・・・・」上条「こうなったら・・・・アレをやるぞ美琴!」美琴「分かったわ当麻!」上条は両手を頭上に突き出して地面に寝そべった。美琴「続いて当麻の体を砂鉄で包み込んで!」右手以外を砂鉄で包まれる上条。美琴「後は超電磁砲の要領で打ち出す!チェイサー!!」上条美琴「「超電磁スピーーーーーーン!!!」」上条は高速回転しながら敵目がけてつっこんでいった!謎の敵「な、なんだとーーーー!」ドカーーーーン!上条「俺達の勝ちだ!」美琴「やったわね!当麻!」ピーポーピーポー美琴「当麻~~~~!何でこんなボロボロに~~~~」救急隊員「お前がやったんだろ・・・・」END(ひでぶ!)
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可愛い顔の策略士 硲舎佳茄(はざまやかな)という小学生の少女は一人退屈そうに公園のベンチに座っていた。大切にしていたバッグを犬に奪われ、セブンスミストの爆発に巻き込まれ、カミキリムシに髪の毛先を切られてしまうと少し可哀相な女の子だ。友達がいないわけではないがこの日は友人に遊ぼうと電話をかけても運悪く都合が合わず一人ぼっちになっていた。「う~ん、みんな忙しいのかな~?」佳茄は携帯の画面とひたすらにらめっこをする形に。スクロールし続け、ある一人のカーソルに止まった。「お姉ちゃん」と書かれてあり、何かあったら連絡してね。と言われたのを思い出し、勇気を振り絞って電話をかけた。「あ、もしもし?・・・あの、佳茄だけど・・・うん」2度、3度うんうんと頷き、その後パァっと顔を明るくさせて喜びを爆発させた。「うん!ありがとう!!じゃあ公園で待ってるね!!」通話を切り佳茄はニコニコしてこれから来るであろう人を待つ。でも今から準備して出て来ると言っていたので早くてあと20分くらいは掛かるだろう。喉が渇いたな~と感じて目の前の自販機に向かった。すると自販機の前には佳茄の見覚えのある少年が。「あっ!」「ん?」佳茄の声に反応してボタンから目を離した少年は恐らく間違えただろうイチゴおでんを押していた。少年はそれに気付かず熱々のイチゴおでんを手にとって「ぎゃぁ~!」と叫んでいるが佳茄は気にせず少年に満面の笑顔で声をかけた。「おにいちゃん!!久しぶり!!」「・・・え?」佳茄にお兄ちゃんと呼ばれた少年、上条当麻はダラダラと汗を流し始めた。 (待て待て待て待て上条当麻。今この子俺のこと「お兄ちゃん」と呼んだよな?もしかして親戚の妹?いやいや!乙姫という従妹がいるし!!もしかして親父が母さん以外の人の・・・ていうかこの子と知り合い!?ていうか記憶を失くす前の俺がこの子に「お兄ちゃんと呼びなさい」とでも言ったのか昔の俺!?ぬぁーー!!ここに来てまた記憶喪失が仇になるとはーーーーー!!!!)過去に知り合っていたのもあるがただ単に小学生の女の子が男子高校生のことをお兄ちゃんと呼ぶのは普通だが少年の頭の中は混乱したまま。「お兄ちゃんそのイチゴおでん飲まないの?」「え?あ、あぁ。間違えて押したから・・・」「じゃあ私にちょうだい?」「い、いいけど・・・」佳茄は少年からイチゴおでんを受け取って再びベンチに座り、ゴクゴクとイチゴおでんを飲み始めた。少年は飲んでいる様子をうわぁというような表情をして佳茄を見る。それに気付いた佳茄は「お兄ちゃんも一緒に座ろう?」と隣を勧めた。「は、はぁ・・・」むやみに去ろうとすれば少年にとって知らない小学生の女の子がどんなリアクションをするか予想がつかないのでとりあえず従う。だが佳茄も少年も特に話すことがなく、ただ時間だけが過ぎていくが佳茄が少年に話しかけた。「お兄ちゃん暇なの?」「ん?補修帰りだし今日は暇だぞ?」「あっ!そういえばお兄ちゃん!もうすぐ常盤台のお姉ちゃんが来るの!!」「常盤台?君の姉ちゃん常盤台なの?」「ううん、今から一緒に遊んでくれるの!」「へえ、いいヤツなんだな」若干会話がかみ合ってないんじゃない?と少年は少し思いながら会話にエンジンがかかった佳茄に優しく相槌を返す。そんな時、佳茄の待ち人は来てしまうもので「お~い佳茄ちゃ~ん!お待たせ~」遠くから駆け足でやってくる常盤台の制服を来た少年も見覚えのある少女が。「御坂!?」「あ、アンタが何でここに!?」 そして、佳茄のリクエストによりセブンスミストに移動する3人。上条、佳茄、美琴と隣に並んで歩く。しかも手を繋いで・・・「なあ御坂」「な、何?」佳茄に聞こえないように声をかける上条。顔の距離が近いのでドキドキしてしまう美琴。「お前さ、俺とこの子が知り合いな理由って知ってるか?」「そっか、アンタ記憶が・・・時間がないから簡単に言うわよ。アンタがその子を連れてセブンスミストにいたの。たしか店を案内するためとか言ってたっけ・・・」「俺ってもしかしてとんでもない変態だった?」「ええ、今と変わらないくらい」美琴の返答に「ひでえ・・・」と小さく呟く上条だが美琴は気にせず佳茄に話しかけた。「ねえ、佳茄ちゃんはセブンスミストで何買うの?」「えっとね、お小遣いもらったからお洋服と水着を買うの」「そっか。なら友達に負けないくらいおしゃれな物買っちゃおうか。私も買いたい物あるし」「うん!」女子同士で盛り上がる所に一人取り残される上条。(おいおい、女子の買い物って長いと聞きますけど?しかも2人もいるとなったら倍くらい掛かるんじゃねえの?迂闊に暇だと言わなきゃよかった・・・)これも不幸の一つか・・・と思いながら2人と並んで歩く上条。上条が一人不幸だ~と落ち込んでいる中、美琴と佳茄は「お姉ちゃんは好きな人いるの?」「ふぇ!?な、何よいきなり!」「お姉ちゃん美人だから告白されたりするだろうし好きな人いないの?」私たちと一緒に歩いてる人よ!なんてとても言えず、チラチラと不幸だ~と嘆いている上条を見てしまう。それに気付いた佳茄は少し考えて「もしかしてお兄ちゃん?」と確信を突いてきた。「な、なんでコイツなんかと!!」「でもお兄ちゃんのことさっきからずっと見ていたでしょ?」「だ、誰がコイツのこと意識して見るっての!?ただ近い距離にいるから自然と視界に入るだけで・・・」「お姉ちゃん、顔赤いよ?」「うっ・・・・・」考えてみれば顔が熱い。上条のことになると隠し事ができない自分だと気付いているのでシラを切るのは無理だと思った。「そ、そうよ。でも絶対に言わないでよ!」「わかってるよお姉ちゃん。よかったら佳茄が協力してあげる」協力すると言っても小学生の考えることだからどうせ「ねえ、お兄ちゃんはお姉ちゃんのこと好き?」と直接聞くのがオチだろうと美琴は考え、逆にありがた迷惑で終わるだろうと予測する。「大丈夫、佳茄がお姉ちゃんの恋のキューピットになってあげるから」天使のような笑顔で美琴にだけ聞こえるように囁く。本当にキューピットになればいいのだが・・・ セブンスミストに到着し佳茄は早速洋服売り場へ向った。佳茄は美琴に協力すると言ったが特に行動をするわけでもなく早速服を選ぶことに夢中になっていた。佳茄はう~んと唸りながらお気に入りの服を探す。少し置いてけぼりの上条と美琴は佳茄の後ろに並んで立つ。「御坂、お前も一緒に探してあげたら?こういう服とか好きなんだろ?俺聞かれてもよくわかんねえし」上条はデリカシーの欠片もなく近くにあった少女向けの可愛い服(美琴のドストライク)をむんずと手にとって渡した。「アンタねぇ、こういう服はもう少し大事に扱いなさいよ。あ!ほらアンタが乱暴に取ったからもうここシワになってるじゃない!!これ売り物なのよ!?わかってるの!?」「ご、ごめんなさい・・・」美琴からの説教によりシュンとなる上条。佳茄はその様子を見てアハハと笑っていたがふとあることを考え付いた。「ねえお兄ちゃん、この服、佳茄に似合う?」「ん?そうだなぁ~」「正直に答えないとダメだからね!?」いつの間にか選んだ服を肩に合わせて上条のほうを向いた。「可愛いと思うけど・・・」「アンタ、「けど」って単語必要ないでしょ?充分似合ってて可愛いじゃない!」「いや、確かに似合って可愛いと思うのですが、何と言いますかこう・・・」「何よ・・・」上条はう~んの唸りだし言葉を捜そうと考え込む。「そうだ!まだ小学生だからちょっと背伸びしすぎているように見えるんだその服だと。もう少し年齢に合った服装がいいというか」「へえ、珍しくアンタにしては真面目な意見を言うじゃない・・・でも、言われてみると確かにちょっとまだ佳茄ちゃんには早く見えるかも」「えぇ~、そんなことないよぅ~」上条と美琴の意見に不服な顔をするがこれは佳茄の計画通り。佳茄が選んだ服はギャルが着て初めて似合いそうな派手目な柄のタンクトップ。見た目純粋度100%な佳茄が着るとただの派手なファッションになってしまうだけだ。「そうか~私にはまだ似合わないか~・・・あっ!!」ここで佳茄が何か閃いた(演技だが)。「お姉ちゃんこれ着てみない?」「ふぇ???」 「佳茄にはまだ似合わないだろうけどお姉ちゃんは似合うんじゃないかな?」「な、ななな、無理よ私は!私には少し派手だって!しかもサイズ違うし!」「そんなことないよ~。お姉ちゃん美人なんだから。ね?お兄ちゃん?」「んあ?」ここでコイツにフリますか!?と美琴は佳茄の協力というものにノーマークだった。上条はというと・・・「ふむ、確かに御坂の言う通り少し派手かもしれないけど俺は似合うと思うぞ?」「んな・・・///」アホな返事をしたかと思えば素で真面目に応えていた。「まあ、それだけだと少し露出が多いからその上から何か羽織っても問題ないだろうし。待てよ?むしろ最近の女子は露出が多いファッションを好む傾向があるのか?」「ちょ、ちょっとアンタ!ストップ!!」慌てて美琴が上条を止める。「アンタ正気!?っていうか珍しく真面目になってどうしたの?」「失礼な。これでもない頭使って考えたんだぞ?それに御坂、お前はいつも制服だから違う服装だと印象が変わるかもしれないし」「何よそれ!!私に見飽きたっていうの!?」「いや、そうじゃなくてだな・・・」佳茄はこのままでは拉致が明かないと思い二人を制止させるための一言を放つ。「お姉ちゃん、試着は自由だから一回着てみようよ。ほらほら!!」「え?ちょ、ちょっと待ってよ!!」佳茄は自分が持っていた服を美琴に渡しグイグイと背中を押して試着室へ押し込んだ。「じゃあお姉ちゃん、着替え終わるまでここを出ちゃダメだよ!?」「えぇ!?こ、ここここれ!!・・・」カーテンを強引に閉めて笑顔で佳茄は上条に聞いた。「お兄ちゃん、楽しみだね?」「ん?それより佳茄ちゃんの服決まったか?」「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」どこまで行っても一筋縄では敵わないのが世界を救ったヒーローなのだ。だが佳茄にとってはまだ上条が美琴の気持ちに気付いていなくても構わない。問題はこれからなのだ。今までの様子を見る限り美琴は着替え終わって上条の前に立てば顔を赤くするに違いない。それを見た上条は「熱でもあるのか?」とボケを飛ばすかもしれない。ここで自分が何か爆弾になるような言葉を放てばまだいくらでも進展はある!!・・・・と佳茄はこれまでの2人の様子を見てこう推測する。 シャーっとカーテンが開いた音が聞こえてきた。「お、出てきたか」先に上条が気付き試着室の前まで行ったが美琴が上条の存在に気付いた途端もの凄い速さでカーテンに隠れた。「ば、バカ!!なんでアンタが見に来るのよ!!」「なんでって・・・一応俺も試着終わるの待ってたんだし」「む、無理!!こんなの見せられないって!!」「ねーねーお姉ちゃん、佳茄はいいでしょ~?」「え?う、うん。でもこっちに来て!!」美琴は佳茄を試着室の中に入れ、カーテンをまた閉め上条から見えないように佳茄に「ど、どう?」と聞いた。「お姉ちゃんすっごく可愛い!!」「そ、そう?でもこれって佳茄ちゃんのサイズの服よ?ピチピチというかこれおへそ丸見え・・・」美琴に渡した服は佳茄のサイズのため美琴には相当小さい。肩幅はかろうじて大丈夫だが丈が短くヘソが丸見え。常盤台のミニスカにこの服の組み合わせだとこれからビーチにでも行くのかと尋ねられそうな感じ。「ねえお兄ちゃんにも見せてあげようよ?」「い、嫌だ!こんな格好見せたくないってば!」「お兄ちゃ~ん!」お姉ちゃん可愛いでしょ~?」「コラ!やめて!ぎゃあ!」佳茄は美琴の抵抗を無視してカーテンを開けた。目の前には上条が立っており、退屈そうな顔をしていたが・・・「んなっ!!///」美琴の格好を見た瞬間顔を真っ赤にした。美琴は見られた恥ずかしさで体が硬直してしまい、体を隠そうにも隠せない。そんな隙だらけの美琴に佳茄は、「ほら、ここの端っこをこうやって結ぶともっと可愛く見えるよ?」キュッと丈の先っぽを結んで「ほらっ」と自慢するように上条へ披露した。先を結んだことで美琴の腰のラインがまた強調され(しかも生肌)、まだ中学生である美琴のこれからの成長が期待せざるを得ない程のスッとしたプロポーションに上条は驚きを隠せない。(御坂のヤツってこんなに・・・・///)「ちょっと!!さっきから何ジロジロ見てんのよ!!さっさと消えなさいよこのバカ!!」「うわぁ!!す、スマン!!」正気を取り戻した美琴から吼えられ、かなり慌てた上条。上条からすれば見惚れていましたなんて言えるわけがない。慌てて試着室から離れてどこかの角へ消えて行った。「ったく、あの変態め・・・」「違うよお姉ちゃん。お兄ちゃんは変態じゃなくてお姉ちゃんが可愛くて見惚れていたんだよ?」「へっ?ウソ?そんなことあるわけ・・・」「だってお兄ちゃんも顔が赤くなっていたもん」美琴はパニックで上条がどんな表情をしていたか覚えていなかったが純粋100%(と思っている)の佳茄が言ってくるとなると信用がどうしてもあがってしまう。「ふ、ふ・・・」「どう?お姉ちゃん嬉しい?」「ふ・・・」「お姉ちゃん?」「ふにゃぁ///」「わっ!!お姉ちゃん!?」茹蛸のように顔を赤くしてその場にへたり込んだ。佳茄がいるので漏電しなかったことを美琴は自分で盛大に誉めて意識は朦朧としていった。
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とある秘密の合成写真【アイドルコラージュ】 コラ画像。それは写真やアニメの画像などを加工する事である。その中でもアイドルの顔写真を使用した物は、アイドルコラージュ…アイコラと呼ばれている。雑な切り貼りをしてネタとして楽しむ画像も多いが、グラビアアイドルの体に自分の好きなアイドルの顔を付け足して、『別の意味』で楽しむ方法も存在する。さて、何故そんな説明を冒頭でいきなりしたのかと疑問を持った方も多いだろう。実はここにいる青髪ピアス。何を隠そうアイコラの天才なのである。学園都市の最先端の科学技術と、彼のエロスへの底知れぬ探究心は、良い意味でも悪い意味でも相性が良い。「変態に技術を与えた結果がこれだよ!」の典型的な例である。結果的に彼は、その(どの?)界隈で名が知られるようになり、天賦夢路の時と同様、一部の熱狂的なファンからは尊敬の念を込めて、今でも『BUAU』と呼ばれているのだ。どうやら自分が作ったアイコラを、「欲しい!」と言う人に無料配布しているらしい。「と、いう訳や」「何が『と、いう訳』なんだよ…」そんなBUAUこと青髪から、放課後にパソコン室で呼び出された上条は、自慢なのか犯罪歴なのかよく分からない武勇伝を聞かされていた。「で? お前のアイコラ技術が凄いって事を延々聞かされた上条さんは、 一体どのようなリアクションを取ればよろしいので?」心の底からどうでもいい話に溜息交じりで相槌を打つ上条だが、青髪は見透かしたようにニヤリと笑う。「ふっふっふ…そんなん言うてもええんかな? これカミやんの為に特別に作ったのに」言いながら青髪は、教室の中のパソコンを一台立ち上げる。そして自分のアカウントのパスワードを入力して、フォルダーを開く。するとそこには…「っんな!? こ、これ…は…!」「せや! 御坂美琴ちゃんと富愚射華ちゃんのアイコラや!」ディスプレイに写し出されたのは、ぽっちゃり系グラドルの体に、上条のよく知る人物【みこと】の顔が貼り付けられたコラージュ写真だった。元がグラビア写真なだけに、着ているビキニはワンサイズ小さく、普段美琴が絶対に着ないであろうエロ水着姿はかなり新鮮だ。そして加工技術もまた青髪が自画自賛するだけの事はあり、言われなければ…いや、言われてもコラだと分からないくらいに自然だったのだ。正に「継ぎ目すらない美しいフォルムだろ?」である。「い、いつの間にこんなもん作ったんだよ!?」「授業中にちょこちょこっと」「お前…先生が知ったら泣くぞ…」「せやから、バレてもうたからカミやんを呼んだんやないかい」「…? どういう事だよ」 青髪は上条を呼び出した理由を説明しだした。つまり、授業中にコラ画像制作している【あそんでいる】事が学校側にバレてしまい、作った画像を全て消去して、反省文も書かないといけなくなったらしいのだ。しかしデータは消してもすでにプリントアウトしてしまった物はどうしようもない。かと言って自分で持っている訳にもいかないので、上条に処分【おすそわけ】を頼もうとしているのである。それを聞いた上条は、青髪に向かって一言こう言った。「お前バカだろ」「バ、バカとは何やバカとは! 他にも欲しがる人おったけど、カミやんの為に取っておいたんやぞ!?」プリプリ怒る青髪に対し、上条は腕を組みながら苦言を呈する。「あのなぁ…確かにムチムチしててエロいけど、よく考えて見ろよ。 美琴はここまで肉付きが良くねーんだよ! リアリティが足りねーよリアリティがっ!」…上条の言葉に、恐らく大半の方がこう思った事だろう。「ツッコむ場所そこじゃねーよ」と。しかし青髪はそんな上条をキョトンと見つめ、その後すぐにカラカラを笑い始めた。「ああ、そないな事かいな。心配せんでもええよ。 そういうリアル志向な人の為に、こんなんも作っといたから」すると青髪は、自分の鞄の中から一枚の写真を取り出す。これが先程の話に出ていた、すでにプリントアウトしてしまったコラ画像写真のようだ。それを見た瞬間上条は、顔を赤くしながら「ぶふっ!!?」と吹き出してしまった。その反応を見た青髪は、満足そうにニヤニヤ笑う。「や~、しかしカミやんもマニアックやねぇ。貧乳の方がええやなんて。 ま、ボクかて嫌いやないけど、大多数の人はリアルやなくてもええからて、 おっぱいの大きい方を選んでくで?」「い、いいいや! 違っ! そ、そういうんじゃなくてだなっ!」上条は慌てて否定するが、そんな事をしても何の意味もない事は目に見えている。そうなのだ。青髪が鞄から出したその写真は、先程と同じコラ画像を扱った物だったのだが、何箇所かだけ違う部分がある。しかしその違いは、先程の画像とは全く別物にする程の大きな違いなのだ。端的に言えば、ウエストと手足は細く、そしてバストは小さく修整されている。広報CMの美琴の体型を参考にしたらしく、それは誰がどこからどう見ても、御坂美琴がエロ水着を着ている写真にしか見えなかった。「まぁ、ええわ。ほんならボクは、これから秘密のフォルダーにデータ移さなアカンから、 カミやんはもう帰りぃ。渡した写真は先生に見つからんようにしてなー」どうやら素直にデータを消去する気がないらしい青髪は、上条に無理矢理(?)写真を押し付けると再びパソコンのディスプレイと向き直した。しかし何故か上条は、受け取った写真を青髪に返還する事もその場へ捨てる事もせず、自分の制服の内ポケットに、そっと仕舞い込むのだった。 ◇上条は変な緊張感を持ちながら、周りの様子をキョロキョロと警戒しつつ校門を出た。喉は渇き、心臓は速く脈打つ。しかし気分は高ぶっている。その様子はさながら、初めてエロ本を拾って帰る中学生男子の如くである。理由は勿論、内ポケットに挟んである例のコラ写真だ。こんな物を持っている事が誰かに知られたら、色んな意味でアウトとなる。特に上条は他の人よりも不幸な事態に陥りやすく、本人もそれを自覚している。だから警戒を怠る訳にはいかないのだ。だったら何故そんな危険物を持って帰るのか…それを言うのは野暮という物である。(う~…思わず持って来ちまったけど、これどうしよう…? 部屋ん中に、インデックスにもオティヌスにも見つからないような隠し場所ってあったっけ?)やはり、お持ち帰りする事は確定しているようだ。だが上条が不幸なのもまた事実。上条はこの直後、もっとも会ってはならない人物と遭遇する事となる。「ご、ごほん! ちょろっと~? な、何か今日も偶然会っちゃったわねー! まぁ多分何かの縁だろうし、い、一緒に帰らない?」背後から話しかけてきたのは、正真正銘本物の御坂美琴だった。まるで上条が学校から出てくるのを『待っていた』かのような偶然で、本日も彼女と出くわす。もうツッコむのもめんどいので、ここは偶然という事にしてほしい。さて、そんな美琴に声を掛けられた上条が、どんな反応を見せたのかと言えば。「だあああああああぁぁぁあぁしっ!!!!!」思いっきり大声を上げて背筋をビクゥッ!とさせたのだった。二人の役割がいつもの逆である。上条の言動で美琴が奇声を発するのはよくあるが、このパターンは珍しい。「ど、どうしたのよ急に!?」「ななななな何でもありませんですことよ!!? 上条さんは何もやましい物など持っておりませんですはい!!!」あからさまな挙動不審。何かを隠しているのは明白だ。美琴はジト目で上条を睨みながら、「怪しい…」と呟いた。対して上条は、滝のように冷や汗を流しながら目を泳がせている。美琴はずいっと一歩前に出て上条に詰め寄り、同時に問い詰め始めた。「アンタ何か隠してる事があるでしょ! 正直に白状しなさいよ!」「だだだだから何も隠してないってば!!! こ、ここ、これがウソついてる男の目に見えますか!!?」「そんな50mプールを全力で往復したみたいに泳いだ目を見せられても、 信じられる訳ないでしょ!? また変な事件に巻き込まれてんじゃないでしょうね!」確かにある種、事件に巻き込まれていると言えなくもないが、決して美琴が心配するような事ではない。しかしだからと言って詳しく説明する事は絶対に出来ないので、(美琴からすれば)意味深に口ごもってしまう上条。ますます怪しい。「アンタがどこかで戦う時は、私も一緒に連れてけって前にも言ったでしょ!? そりゃ…あんな化物達と戦うのに私なんか足手纏いになるのかも知れないけど…… でも! だからって私に黙って行こうとするなんて…そんなの、そんなのって!」瞳の中を薄っすらと潤ませ、何やら必死に訴えかける美琴だが、そのシリアスな雰囲気は残念ながら無駄骨である。だってそもそも上条は、これからどこかへ戦いに行く訳ではないから。美琴のコラ写真を持っている事を、美琴本人にバレないようにここを切り抜けるには、どうすればいいのかを考えているだけなのだから。しかし何度も言うようだが、それを本人に説明する訳にはいかない。それは秘密をバラしてしまうのと同義である。だが先程も説明した通り、彼は自他共に認める不幸体質だ。美琴に詰め寄られてアワアワをしている上条に、あろう事か、ここで絶対に起きてはならない不幸が発動する。 パサッ…突然、上条の胸ポケットから一枚の写真が落ちてきた。原因はポケットの底に開いている大きな穴である。上条は今ほど自分の不幸とマヌケさ加減を呪った事はないだろう。何故このタイミングなのか。そして何故ポケットに穴が開いている事に気付けなかったのか、と。「…? なに、これ?」「ああああああああああ!!! ちょ、それらめええええええええええ!!!!!」何だろうと思い、美琴はその写真を拾い上げる。上条も止めようとしたのだが、コンマ数秒遅かったようだ。哀れ写真は美琴の手の中である。そして写真を一目見た美琴は、見る見る内に顔を真っ赤にさせていく。美琴は先程とは全く違った涙を目に溜めながら、全く違った理由で上条を問い詰める。「なっ! なななな何なのよこの写真っ!!? 私こんなの撮った記憶が無いんですけど!!? てかそれ以前に、ど、どどどどうしてアンタがこんなの持ち歩いてんのよ!!? 私に黙ってどうするつもりだったのよこの写真っ!!!!!」「おおお、落ち着こうぜミコっちゃん!!! こ、これには深ぁ~いワケがありましてですね!!!」「こんなの見せられて落ち着けって方が無理でしょうがっ!!!!!」ごもっとも。上条は必死に頭を回転させて、何と言えば美琴を説得出来るのかを思案する。正直に話す…いや、駄目だ。火に油を注ぐような物だ。「実は御坂妹に水着を着て撮らせて貰った」と言って誤魔化す…いや、駄目だ。何故か殺されてしまうイメージが沸いてくる。「実は美琴に催眠術をかけて、その間に水着を着せて」…いや、駄目だ。それ犯罪だ。困った。何を言っても怒りを買ってしまうような気がする。しかし黙っている訳にもいかないだろう。ここは何か言わなければ、完全に変態扱いされてしまう。なので上条はとっさに。「い、いやこれ、その、今度、つ、『使おう』と思ってだな…」考えうる最低の言葉を残した。上条としては、別に何に使うかとか考えていた訳ではなかった。ただ無意味に持っているよりも、何かに使うと言った方が罰も軽減されると思ったのだ。理由がある【つかう】のなら仕方ない…美琴もそう思ってくれるのではないかと思ったのだ。しかしどうだろうか。エロ水着姿の美琴の写真を、『使う』というのは。使う用途など限られてくるのではないだろうか。冒頭でアイコラは『別の意味』で楽しむ方法も存在すると説明したが、正にそれなのではないか。そこに気付いた上条は、言った直後にハッとして、真っ青になった。「あっ!!? いや、ちょ待て美琴っ!!! 今のは間違い!!! そ、そういう意味で使うって言ったんじゃなくてだな!!!」しかし美琴は聞く耳を持たない。真っ青になった上条とは対照的に、ふにゃー寸前まで真っ赤になった美琴は。「そっ!!! そそそそそんなに使いたきゃ好きにすればいいじゃない!!!!! アアアアンタが私の写真でナニしようが私には全然関係なんて ないんだからああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」そう捨て台詞を吐きながら、美琴は脱兎の如く走り去ってしまった。自分が撮った記憶の無いその写真の正体を、上条に問いただすのも忘れるくらいに。一人ポツンと置いていかれた上条は、小さくなって行く美琴の背中を眺めながら、「……助かった…のか?」と一言漏らしたのだった。 ◇部屋に戻った美琴は、ルームメイトの白井に一つ質問をした。「……ねぇ、黒子。アンタ前に、やたらと際どいビキニ着てたじゃない…?」「ああ、皆で水着のモデルをした時ですの? わたくしとしては、アレはまだ大人しめなつもりだったのですが…」白井が着たのは大事な所がギリギリ見えない黒のマイクロビキニだったのだが、アレが大人しいなら普段は一体どんな水着を着ているのだろうか。「それで、それがどうかいたしましたの?」「うん…その、私も……ああいう水着とか…買ってみようかな~、なんて…」その言葉を聞いた白井は、一気に目をキラキラさせる。「まぁ! まぁまぁまぁ! お姉様もいよいよ目覚めましたのね!? いいですわよ~! わたしくがお姉様に合うアダルティな水着を選んで差し上げますの! んっふっふ…あの少女趣味全開だったお姉様がついに……ぐへへへへ!」相談する相手を間違えたかな、と少し後悔する美琴。「ですが一体どのようなご心境の変化ですの? それにまだ水着を慌てて選ぶような季節でもありませんが…」白井の疑問に美琴は赤面し、ベッドの布団をギュッと掴みながらこう答えた。「わ…私が、エ……エッチな水着を、着て、しゃ…写真に撮ったら……… アアア、アイ、アイツがその…つ…『使う』って…言うから…」瞬間、白井は空間移動で上条の下まで駆けつけた。結局の所、上条は何一つ助かってなどいなかったのである。
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P.S._I_LOVE_YOU その日の天気は、鉛灰色した低く、息苦しさを覚えるようなどんよりした雲から、銀色の滴が静かに降りそそぐ、そんな一日。 6月17日、金曜日の午後だというのに、街並みは暗く濡れて、ひんやりした冷たさを感じさせ、衣替えを済ませた者にはもう一枚、上に羽織ろうかと思わせる、そんな生憎の空模様。先達てまでのじっとりと蒸されるような、夏前特有の気候は影を潜め、典型的な梅雨寒の、どこか陰気に感じられる日のこと。 とある高校の2年生、上条当麻はその日、いつもの彼には珍しく、放課後の補習も無く、課題も出なかった。 下校途中に、いつもの公園を通りかかった時、あの自販機前で立ち止まる。 傘を差していても伝わってくるような、冷たい空気に体が冷えて、何か温かいものをと思い、無意識に小銭を入れるとホットミルクティーのボタンを押した。 ガコンと音がして、取り出し口に要望通りの飲み物が出てきた時、彼は今日これまで、『不幸だ』と呟きもしなかったことに気が付いた。「――上条さんにも、たまにはこんなラッキーな日があっても良いと思うのですよ」 温かく甘いミルクティーが、上条の冷えた身体を内側から温めていく。 生憎のこんな天気でも、今の彼にとってはもはや些細なこと。 朝の目覚し時計は時間通りに起床を知らせ、きちんと朝食を作れたことで、同居している暴食シスターに噛まれる事も無かった。 登校時には犬に追いかけられることも、財布を落とすようなことも起きなかった。 朝のHRでは、吹寄おでこDXを喰らう事もなく、昼は購買で、昼食のパンを手に入れることも出来た。 今日一日が無事、『普通』に過ごせている。これは彼にとっては奇跡としか言い様の無いことなのだ。 生まれついての不幸体質な上条にとって、毎日起きる何かしら不幸、不運な出来事はもはや日常茶飯事のこと。 「どうせこんな平穏無事な一日の終りには、とんでもない不幸の揺り戻しが来るんだろうけどな……」 ふと口から漏れ出た言葉に、どれだけ不幸慣れしているんだよと思うと、それが当たり前のように納得している自分のことが、なぜだか無性に可笑しくなって笑みがこぼれた。「――ちょろーっと……」 その時上条の背後から掛けられた、いつもの聞きなれた声に振り返ると、そこにいたのは学園都市第三位のレベル5、『超電磁砲』こと御坂美琴。 「ねぇ、こんな所で一人、何ニヤニヤしてるのよ」 そう言いながら彼女は、見慣れたいつものカエル柄の傘を差して、上条の前に立っていた。 口調は荒っぽく思わせるようでも、その顔にはいつもの彼女らしい笑顔があって、上条の心をドキリと震わせる。「――おう、御坂か……」 上条が口に出来た言葉は、たったそれだけ。 かつては上条に出会い頭の電撃を放ってきたりした彼女も、それは既に過去のこと。今では普通に声をかけてくる。 それどころか、課題の手伝いや、タイムセールへの協力、たまに手作りの夕食を振舞ってさえもくれるようにまでなっていた。 いつもそこにあるのは、彼女の優しい笑顔。いつしか上条の日常には、美琴の笑顔が欠かせぬようになっていた。 そんな彼女の笑顔に、自分の気持ちが引き寄せられる時が来ようとは、かつての彼なら夢にも思わなかっただろう。 鈍感と言われた上条が、今では彼女に自分でも理解できない感情を抱いていた。「いやぁ、今日の上条さんはですね、朝から何のトラブルも起きていないものだから……」 なぜだかドキドキと高鳴る気持ちを隠して、上条が彼女に笑顔を向けた。 今日の彼はいつもと違う。不思議なことに、朝から不幸なことが起こっていない。 それどころか、気になる女の子に会うことも出来た。なんて今日は幸せな日なんだろうと上条は思う。 だからこそ今の彼は、最高の笑顔でいられた。「なんて幸せな一日なんだろうと思うわけでしてね……」 いつに無い上条の輝くような笑顔に、美琴の顔が急に赤くなり、彼の顔を見つめたままぼぉーと立ち尽くしている。 それに気付いた上条が、彼女が急に体調を崩したかと思い、あわてたように傍に寄った。 その拍子に傘と傘がぶつかって、傘の端に溜まっていた冷たい滴が2人に降りかかる。「きゃっ!冷たっ!」「うわっ!冷てっ!」 わずかに身を切る刃物のような、滴の冷たさが、ともすればのぼせがちな2人の感情を切って捨てる。「もう……冷たいじゃないの」「わりぃ御坂。それより体調でも悪いのか」「あ……、だ……大丈夫よ……、たぶん……」 なんだよたぶんって、と思いながら彼は、いつしか傍らに立つ彼女の顔をぼんやりと見つめていた。 そういえば、美琴とはいつ、知り合ったのだろうなと上条は思う。 いつのまにか彼の横にいて、気が付けば彼の世界に欠かせない存在となった女の子。 ロシア上空で、自分に向かって手を差し伸べてきた女の子。 病院を抜け出し、戦いに向かう自分に、記憶喪失の事実を問いただそうとした女の子。 大覇星祭での勝負と罰ゲーム。 夏休み最後の日の恋人ごっこと、アステカの魔術師との誓い。 絶対能力進化実験での一方通行との戦いと妹達(シスターズ)。 あの夏の日に、この公園のこの自販機の前で、彼女に声をかけられたのが、彼が覚えている美琴との最初の記憶だった。 それ以前からの付き合いもあったようだが、記憶喪失となった彼には何もわからない。――俺の記憶喪失を知ってるとはいえ、アイツだって、そんな話は聞きたくも無いだろうしな。「ねぇ、なにぼんやり見てるの?」 じっと彼に見つめられていた美琴が、恥ずかしげに俯きながら、上目遣いで顔を覗き込んできた。 彼女のその仕草に、上条の心が撃ち抜かれる。思わず背けた彼の顔は真っ赤になり、心臓は口から飛び出さんばかりに、その鼓動を早めていた。「あ……、いや、別に……」 そう言葉にするのがやっとだった。 この感情は一体何なのか、彼は今もわからない。 彼女の姿を見ると、胸が高鳴り、顔は上気して口の中がからからになる。「ねぇアンタ、明日時間ある?」 美琴の言葉に、上条がはっと気が付いたように意識を取り戻した。「おう、明日は補習もないし、時間はたっぷりあるぞ」「じゃ、さ、ちょっと買い物を手伝って欲しいんだけど……、ダメかな?」「ダメじゃない!」 即座に返事が出来た。彼自身でも驚くほどに、すんなりと言葉が出た。 彼女は付き合えと彼には言わなかった。上条が承諾をしやすいように、手伝ってほしいと助けを求めるような表現を使っている。それが彼女なりの上条当麻操縦術。 そんな美琴の掌で踊らされるように、上条はどんどんと、彼女の虜になりつつあった。「じゃ、時間はまた後で連絡するわね」「ああ、待ってるよ」 そう言う上条の心臓は、すでにばくばくと脈打っていた。 自分でも説明できない胸の高鳴りは苦しくなって、その動悸を収めるように、彼は持っていた飲みかけのミルクティーを一口、口に含む。 生温い甘さで、その高鳴りをなんとか平静に押さえつけることが出来そうだと思ったその時だった。「あ、私にもそれちょうだい。喉、カラカラなのよ」 いきなり美琴に缶をひったくられて、上条は我に返った。「あ、なんだ。もうすっかり温くなってるじゃない」 そう言いながら、彼女は缶に口をつけると、ごくりと一口、喉を鳴らして飲み込んだ。 上条はそんな大胆な彼女の行動に、ますます内心の動揺を隠せなくなっていく。「お……おい、人の飲みかけを……」 おろおろと慌てるような上条を横目に、美琴は平然として笑みを浮かべている。 「けちけちしないの。減るもんじゃ……って飲んだら減るわよね」「てめぇ全部飲むんじゃねーよ!」「はいはい。返せばいいんでしょ」 そう言って美琴が、中身の減った缶を彼に返して寄越した。 さっきより軽くなった缶を手渡され、上条は無意識にその飲み口に目を落とした。――間接キス…… そんなフレーズが上条の脳裏をぐるぐる回る。――俺がこれに口をつけたら…… それまで普段、全く気にもとめないことに、上条は意識を奪われ、沈黙してしまっていた。(おいおい、中学生じゃあるまいし。なんで俺はこんなに意識してるんだよ……) 彼のそんな気持ちを見透かしたように、美琴は小悪魔のような笑みを浮かべていた。 彼女の鳶色をした双眸に、何かを決意したような、強い光が宿っていたことに上条は気付かない。 やがて意を決したように、美琴が二人の間の沈黙を破った。「あのね……」 彼女から発せられた言葉が、彼の思考を止めた。「――私、好きな人がいるの……」 冷たい雨が、しとしとと降り続く。 傘に当たって、細かい粒が跳ね、ぱたぱたと音を立てる。 同時に上条の周りで、時が止まる。 思わず顔を上げた途端、彼はじっと見つめてくる美琴の瞳につかまえられた。 それまでドキドキと高鳴っていた胸が、あたかも大きな手につかまれたように、ぎゅっと締め付けられた。胃の奥に黒く冷たい塊を押し込まれたような気持ちになって、呼吸が荒く苦しくなる。 思わず――うぁ……と喉の奥から声にならない声を漏らしていた。「初めて会ったのは、ちょうど一年前なんだけどね……」 自分の知らない彼女が、目の前にいる、と思うことが上条には辛かった。 ちょうど一年前。それは自分の記憶から失われた時間の中にある。 美琴の瞳から目を離すことが出来ずに、彼の頭の中で警告音が鳴る。 彼女の中に、自分とは違う男が息づいているのだと思った瞬間、上条の心が折れかけた。(そうか。朝から何も無かったのは、この為だったのか……) 上条は、今日の不幸がやって来たと思った。しかも彼の記憶の中でも、それは最大級の不幸なんだと感じられてもいた。 そんな彼の心を、知ってか知らずか、美琴が言葉を繋いでいく。 じっと傘を差したまま立ち尽くす上条の目の前で、彼女はくるりと向こうを向いた。 彼からの視線に耐えられなくなって、恥ずかしさで自分の心が途中で折れないように。 自分の思いを言葉にして、本当の気持ちを素直に上条へと伝えるために。「不良に絡まれていた私を、助けようとして、知り合いの振りをして……」(ああ、これが不幸だってことは、俺はこいつのことが……)「私を連れ出そうとしたんだけど、私がぶち壊しちゃって……」(そうか、これが俺の初恋、なんだよな……)「そうしたら私のことガキ扱いしたから……」 美琴の話はもはや上条の耳には聞こえない。 何より、記憶に無い出来事だから、聞こえていてもわからない。(――するとこれが俺の初失恋、ってことになるのか) そう思った瞬間、上条の視界が滲んできた。 その衝撃に耐えられなくなりそうで、この場からすぐにでも逃げ出したいと思った。 それでもなぜか足が震えて動かない。心が痛いという感情が沸き起こる一方で、それでもどこからか、逃げるなという声が聞こえてくる気もする。 目の前の少女の言葉を、最後まで受け止めろという思いだけが、上条の足を止めていた。 彼女の笑顔を守りたいのなら、お前はその言葉を受け入れろと、あの日誓った自分の中の何かが叫んでいる。「そいつらごと電撃食らわせたら、その右手で防いじゃったのよ……」「――へぇ!?」 上条は思わず間の抜けたような声を上げていた。「いや、ちょっと待ってくれ。その右手でって……」 いつのまにか足の震えが止まっていた。胸の痛みが消えて、心臓がどきんと大きく鳴った。 それでも、もしかして自分の聞き間違いか?という懸念も消えていない。「――それ、どう考えても俺のこと……だよ……な?」「覚えてない、のね?」「ごめん……」 「――やっぱりアンタ、その頃の記憶は残ってないんだ……」 聞こえてきたのは、暗く沈んだような美琴の声だった。 上条はこの時ほど、そのことを不幸だと思ったことは無かった。 今となっては、何よりも失いたく無かった美琴とのエピソード記憶。 どうしようもない事とは言え、今、この場でそれを彼女に聞くわけにもいかない。 なにより目の前の彼女に、そんな暗く沈んだ声をさせたくは無かった。 だが今の彼にそこまでの気持ちの余裕もなく、ただじっと彼女の言葉を聞くことしか出来なかった。「――御坂。それじゃ、お前……」 それでもやっとの思いで言葉に出せたのは、たったこれだけ。「――そう、私、アンタのことが好きなの……」 傘の向こう側に隠れた美琴の顔は、上条からはわからない。 わずかに震えるような、傘の動きが物語るのは、告白する彼女の緊張なのか、それとも失った上条との思い出を知った悲しみなのか。「だからアンタの記憶喪失のこと、私にも背負わせろなんて言わないけどさ」「――!」「せめて私との記憶のことぐらいは……」 そう言いながら、彼女は上条のほうへ振り返る。 その真剣な彼女の顔は、やっぱり優しさと強さを彼に感じさせる。 瞳に浮かぶ一粒の滴は、上条への思いが込められたように、きらりと輝いた。「――頼って欲しいと思ってるんだから!」 いきなり美琴が上条の胸元をつかむと、そのまま彼の顔を自分のほうへ引き寄せて、目を瞑って上条の唇に口づけた。 自分の思いを彼に刻み込むように、ゆっくりと時間をかけてキスをする。 頬を赤く染めた、そんな彼女の顔を、上条は綺麗だと思った。 温かく柔らかい彼女の唇の感触と、ミルクティーのように甘い味のファーストキス。 それらが、自分の中の何もかもを全て蕩けさせ、彼は大きく目を見開いたまま、ただ彼女を見つめるだけしか出来なくなっていた。 やがて美琴は、突然の出来事に固まったままの上条をその場に突き放し、身を翻すと自分の寮の方へ駆けていく。 遠ざかる彼女を追いかけることも出来ず、彼はただ呆然とその後ろ姿を見送ることしか出来なかった。 やがて美琴が差すカエル柄の傘は、銀白色をした冷たい靄の中に消えていった。 冷たい雨は降り止む気配もなく、そのまま上条の傘を静かに濡らし続けている。 やがてはっと気が付いたように上条が意識を取り戻した。 今もって動悸は止まらず、胸の高鳴りも押さえきれない。 のどの乾きを潤すように、彼は右手に持ったままの、すっかり冷えたミルクティーをぐびりと飲み干した。「――やっぱり甘めぇよな……」 その味は、さっきの美琴とのキスを思い出させ、上条の頭と体を却って一層ヒートアップさせる。 空缶をゴミ入れに放り込むと、彼はとぼとぼと自分の寮へ向かって歩き出す。 上条はもう、今日は何も考えられなくなっていた。 このまま帰れば、おそらくインデックスのはらぺこ攻撃が待っているはずだ。おそらく今日も、頭からがぶりと噛み付かれるのは間違いない。 たしか非常用食料はまだ残っていたはず、と彼は自分の記憶を探っていく。風呂場の天井裏まではあの暴食シスターも気づいてはいないはずだ、と。 今日の晩御飯はそれで解決。明日の朝食は明日考えることにしよう。 その前に……と呟きながら、やっておかなければならないことに思いを募らせる。「――返事、しないとな……」 携帯を取り出すと、メールを1通、美琴に送る。 いつものように簡潔に。されど今日からは、最後に1行、思いを込めて。 これだけはどんな不幸に見舞われても、必ず届くようにと願いながら、彼は送信ボタンを押した。『To:御坂美琴 From:上条当麻明日、早い時間でなければOKだ。それと、失くしたお前との思い出、教えてくれると助かる。 P.S. I Love You 』 しばらくすると、携帯がメールの着信を知らせた。 見慣れた名前と、見慣れた内容。 今日はそれでも、最後に1行、美琴からの思いを込めた、いつもと違う文字が付け加えられていた。『To:上条当麻 From:御坂美琴11時にいつもの公園で。行き先はセブンスミスト。遅れたら超電磁砲3連発だからね。 P.S. You Too 』 それを見た上条は、それまで差していた傘を閉じる。 火照った頭と、高まる胸の動悸を今度こそ押さえるために、冷たい雨に濡れてみたかった。 もう服が濡れようとも、全く気にしない。水溜りでこけようが、横を通り過ぎる車にしぶきを浴びせられようが、あえて不幸を求めるかのように、彼は振舞っていた。 まるで明日の分の不幸も、今日のうちに全て受け入れてしまおうとするかのように。「うん。やっぱり上条さんにも、こんなラッキーな日があっても良いと思うのですよ」 そう独りごちながら足取りも軽やかに、笑顔で彼は寮へと帰って行く。「これって、なんて素敵な不幸だーってことだよな」 ~~ THE END ~~
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小ネタ ハートにビリビリ❤ よくわかるあらすじ上条さんがミコっちゃんの頭で下敷きをごしごしごしごししたら、ミコっちゃんの髪がもわわんとして怒ってバリバリしてきたので、上条さんが右手でぽすってやって、なおしなおししたら、ミコっちゃんが顔を赤くしながら頭から煙を出してハートにビリビリ♡だった。 ◇「よし。髪、直ったかな」髪型も整ったので、上条は美琴の頭から手を離す。上条に頭をなでなでされていた美琴は、上条の手が離れた後も、余韻が残っているのか「はわわわ」と言いながら小刻みに肩を震わせている。しかし美琴のその様子を怒りで震えていると勘違いした上条は、「…何だ、まだ怒ってんのか? 髪ならちゃんと直ったってば」と鈍感力を遺憾なく発揮した言葉を口に出す。「そ、そそ、そんにゃんじゃ、にゃい、けど……」真っ赤になったままの美琴は何とか一言ひねり出すが、やはり顔の熱が引く事はなく、相変わらず煙を出し続ける。それが帯電に代わり、バチバチと音を立てるには時間がかからなかった。「ちょー、御坂っ! またビリビリしそうですよ!?」上条は慌てて、再び美琴の頭を右手で押さえる。先程の静電気と違い今回は美琴の漏電【のうりょく】なので、髪が「もわっ」とする事はなかったが、それはそれとして漏電の被害を広げる訳にはいかないので、幻想殺し【みぎて】で押さえたのだ。だがそれは勿論、新たに美琴を赤面させる要因になるだけであり、美琴は背筋をビクンと跳ねさせながら、「みにゃっ!!?」と可愛らしい悲鳴を上げる。ここに、頭を触る事でビリビリの原因を作り、手を離せばビリビリする。そしてビリビリを防ぐ為には右手で頭を触らなければならないという、2828な悪循環が完成してしまった。おかげで上条は、美琴の頭から手を離せなくなってしまったのだ。「…はぁ…しゃあねぇな。ちょっとこのままでいるか」「えっ………ええええええぇぇぇっ!!!?」仕方がないので、その状態のままベンチに座る上条。どうやら美琴が落ち着くまで、持久戦に持ち込むようだ。対する美琴は、落ち着くなどとは程遠いと言わんばかりに大声を出す。が、上条は気にせず雑談をし始めた。「そう言えばさ、御坂の能力があれば静電気とか何とかなるもんなんじゃないのか? 電気なら干渉できるだろ?」「し、自然発生するものは…ど…どうしようも……にゃい…かりゃ……」「ふ~ん。そんなもんなのか…」冷静に受け答えしているつもりの美琴だが、言語中枢に明らかな異常が見られる。美琴にとって、この状況【あたまなでなで】は、それ程までに破壊力があるという事なのだろう。「じゃあこれからもコンビニの自動ドアに喋りかける生活を送る訳ですなぁ」「そっ! その事は忘れてって言ったでしょ!? それにあんな事、何度もしてる訳じゃないんだからっ!!! あれが通常運転みたいに言わないでよ!!!」この状況に加え、先程コンビニでやらかした自分の天然行動も掘り返され、羞恥心も2倍である。「つーか御坂、さっきから顔が真っ赤だけど大丈夫なのか? 冬なんだし、風邪とか気をつけなきゃダメだぞ」「かっ、風邪とかじゃないからっ! これは…その……な、何でもないのっ!」言えない。「アンタとこんなに密着状態で、しかも頭とか触られてるから」なんて理由、言える訳がない。だがそんな美琴の「何でもない」という言葉を聞いてか聞かずか、上条は美琴の顔をじっと見つめる。「はにゃっ!? な、何よ…そんな真面目な顔しちゃって……」「………」 上条は無言のまま、徐々に顔を近づけてくる。しかもそれだけでなく、美琴の頭に触れている手をグッと引き寄せてもくるのだ。「えっ!? えっ!? ちょ、まさか…えええっ!!?」「……御坂…」「~~~っ!!!」上条が「御坂」と呟くのと同時に、美琴は『何か』の覚悟を決めたらしく、『何故か』目を瞑った。心臓もバックバクである。が、次の瞬間、「ん~……熱…は無いみたいだな」上条は自分のおでこと美琴のおでこをくっ付けていた。まぁ、お約束であり様式美であり鉄板である。普段ならこれでも充分な攻撃力があるのだが、『予想してた事』よりはランクが低い行為なので、美琴もちょっぴりガッカリ―――「にゃわわわっ!!! おおお、おでこ! ぴとって! おでこがぴとってええええ!!!」―――でもなかったらしい。少ないご褒美で満足のできる、燃費の良い娘である。美琴は自分のおでこに何か(とは言っても上条のおでこだが)が当たった感覚と同時に、カッと目を見開く。するとそこには、当然ながら上条の顔が間近にある訳だ。少し顔を動かせば、『予想してた事』ができる程の距離に。「べあっ!!?」美琴は目を回しながら、「ぼひゅんっ!」と音を立てて再び煙を出す。「…おいおい、本当に大丈夫か?」「……にゃに、よ…アンタが……紛らわしい事…する、から……じゃにゃい…」その『紛らわしい事』を期待していたのは、どこの誰だと言うのか。的外れな心配する上条に、美琴はボソボソと小声で返す。「そ、そうよ…紛らわしいア…アンタが悪い、のよ……思えば春にも『あんな事』したし…」美琴がここで言う『あんな事』とは、花見の時の事だ。その場には上条と美琴、そしてインデックスの3名がいたのだが、美琴の買ってきた桜もちを食べたインデックスが春の暖かい日差しの誘惑に負けてうたたねを始めた。そして二人っきりになった瞬間に、上条が美琴の肩に顔を乗せてきたのだ。「べべべ別にイヤってわけじゃあないんだけど、いきなりで心の準備」ができていなかった美琴は、それはもう見事なまでに、てんやわんやしていた。しかしながら結局は、上条もうたたねして寄りかかっただけというオチだったのだ。まぁ、お約束であり様式美であり鉄板である。「…? あんな事って、どんな事?」だが勿論、上条はその事を覚えていない。何しろ、うたたねしていたのだから。なので美琴は、「っ! わ、分かんなきゃいいわよ…別に…」と言いながら、プイッと顔を背ける事しかできなかった。その様子を見て頭にクエスチョンマークを浮かび上がらせた上条だったが、すぐに「ま、いっか」と切り替える。もうちょっと長考しろ、と言いたくなるだろうが、考えた所で美琴の心情を察せる訳がない。インデックスの言葉を借りれば、「だって、とうまはとうまだから」である。「っと、そろそろ大丈夫かな?」美琴も落ち着いたようなので、そっと手を離す上条。「じゃあそろそろ俺、帰るわ。御坂も早めに帰れよ? 風邪が悪化すると良くないからさ」上条はそう言ってベンチから立ち上がると、そのまま自分の寮へと帰っていった。美琴は徐々に小さくなっていく上条の背中を見つめながら、「……だから…風邪じゃないっつの…」と呟くと、自分の髪をそっと触ってみる。先程まで上条が優しく触れていたその部分は、じんわりと温かくなっており、美琴は本日何度目かも分からない赤面をしながら、顔をにやけさせるのだった。たまには静電気もいいかもね。
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小ネタ 美琴が上条さんの宿題を手伝っているようです 美琴が上条さんの宿題を手伝っているようです美琴「だーかーら!ここはそれを代入して…」上条(あー、御坂いいにおいだなー)美琴「ちょっと!聞いてんの!?」上条(やべえ、もう我慢できねえ)「…御坂」美琴「やっとしゃべったわね!アンタはいつも―――へ?」ぎゅっ上条「あー、やっぱいいにおいするしやわらかいし小さいし御坂はいいなー」美琴「ふ……」上条「ふ?」美琴「ふにゃぁぁぁぁぁ」上条「あー、気絶しちまったか…おれも一緒に寝るか。おやすみことー」
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小ネタ にくまん 上条「はー…。うわ、息が白い…。最近寒くなってきたなー。」上条「冬は初めてですが下校中に肉まんが欲しくなる(青ピ談)気持ちはよくわかりますよ。…ん?」美琴「もぐもぐ」上条「よっ、御坂今帰りか?」美琴「!?」ビクッ上条「お、肉まん。うまそうだなー」美琴「いいいいきなり話しかけないでよ!ビックリするじゃない!!」上条「お、おお、す、すまん(普通に声かけたつもりなんだが…)」美琴「(なに一人で怒ってるのよ私はーーー!!)そ、それでなんかよう?」上条「いや、見かけたから声かけただけ」美琴「そ、そう。アンタも暇ねー(アンタを探してて冷えたから肉まん食べてたなんて言えない…)」上条「しかしこの季節、肉まんが美味いだろうなー」美琴「ふ、ふーん、確かにそうかもねー(今、私の手元には肉まん(食べかけ)が…。これをコイツに渡せば…間接キ、キキキ…)」上条「…お、もうこんなとこか。じゃ、俺はこっちなんで、またな御坂」美琴「え?」美琴「ちょ、ちょっと待って!」上条「ん?どうした御坂?」美琴「あ、いや、えーと、その、……えいっ」上条「モガッ!?」美琴「常盤台のお嬢様との間接キ…だからね!あ、ああ、ありがたくいただきなさい!!」上条「モガモガっ!?」美琴「もう無理!じゃあね!(恥ずかしいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!)」上条「モググ…ふぅ。たくっ…、まだ肉まんの礼を言ってねーぞ俺は」上条の右手には食べかけの肉まんが握られていた。それを見ながらポツリと呟いた。上条「しかし下校中の肉まん、確かに病み付きになるな………いろんな意味で」
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前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/投稿者 「AaAa」 auau(7-270)氏 Aサイド ◆kxkZl9D8TU氏 ▲ auau(7-270)氏 とある未来の・・・ 1 プロローグ とある未来の・・・ 2 1.訪問者 とある未来の・・・ 3 1.訪問者 とある未来の・・・ 4 2.初めて とある未来の・・・ 5 3.惹き合い とある未来の・・・ 5 3.惹き合い とある未来の・・・ 6 4.頼み事 とある未来の・・・ 6 4.頼み事 とある未来の・・・ 7 5.最終日 とある未来の・・・ 7 5.最終日 小ネタ 超電磁砲五巻特装版裏表紙にて とある未来の・・・ 8 5.最終日 とある未来の・・・ 9 5.最終日 とある未来の・・・ 10 エピローグ 雨のち曇り のち晴れ 1 前編 のち晴れ 2 中編 告白の練習 ▲ Aサイド ◆kxkZl9D8TU氏 小ネタ いちゃいちゃするのを愛でる場所 コトバ、アソビ。キモチ、・・・ たまには立ち位置を変えて 美琴の不幸な初体験 嘘から出た美琴 ▲ 前ページ次ページ上条さんと美琴のいちゃいちゃSS/投稿者 Back
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嘘から出た美琴 学園都市に夕闇が勢力を伸ばし始めた頃、とある高校に通う上条当麻は、ひとりとぼとぼとと家路に向かって歩いていた。「小萌先生もひっでーよなー。こんな遅くなるまで居残りさせなくったて……くそっ、インデックスのヤツ、マジで干上がってんじゃねーだろーなぁ?」 さっきから何度も携帯を鳴らしているのだが一向に電話に出る気配が無い。 これはまっすぐ帰った方が良いかもしれない、と上条はそう考えた後、「いや待てよ。手ぶらで帰ってインデックスが待ち構えていたりしたら……」 頭の中でペコシスターの暴走モードの恐怖が鮮明にリピートされる。「不幸だ……」 上条は運命の選択に頭を抱えずには居られなかった。 だから、背後に誰かが立ったとしても気がつかないのは仕方の無い事なのだ。「ね、アンタ」「どうしよう。まっすぐに帰るべきか、寄り道して何か買って帰るべきか……」「もっしもーし?」「行くも地獄戻るも地獄」「ねえ! ちょっとぉ!」「うっわああああああああああ! 俺には決めらん――」「ねえっつてんでしょ、ごらああああああああああああああああああああああ!!」 突如として降って湧いた様な轟音と電撃が上条を襲う――が、咄嗟に翳した右手がそれらを一瞬でかき消した。「御坂ッ!! テメエは何度言えばあいさつ代わりに電撃喰らわすのを止められるんだッ!!」「うっさいわね!! どーせ効果無いんだからいいでしょ! それより何で毎回毎回私の事無視する訳!? 苛め!? もしかして私の事ハブるつもりなの!?」「いやむしろ俺がお前にハブってもらいたいわ」 美琴はその答え代わりに電撃を浴びせてから、急に態度をガラっと変えた。 頬を赤らめ、上目遣いで、両の指を絡み合わせてもじもじとしだした。「と、ところでアア、アンタに話があるん……だぁ……」「馬鹿野郎ッ!! 今電撃は止めろって……話って何だよ?」「何でまだ何も言って無いのに嫌そうな顔すんのよアンタは?」「お前が改まってした話にいい話が無いから」「ぐっ。そ、そうかもね。そうかもしれないわね!」「やっぱ悪い話なのかよ」 先ほどと打って変わった開き直りとも言える不敵な笑みに、上条の顔が一層曇った。「そ、それはアンタ次第よ!」「お、俺次第なのかよぉ?」 美琴に指差された上条の言葉の語尾が不自然に上がる。 ここまでは美琴のペース、と思いきや、「ま、まあ、お、おお、お、おち、ち……」 落ち付きなさいよと美琴は言いたかったのだが、何故だか上手く言葉が出ない。「大丈夫か御坂? 取り合えず落ち付けよ」 逆にそう言われて更に顔面を朱に染めた美琴は、「ちょ、ちょっと待って」と後ろを向いて深呼吸を、2度、3度と繰り返した後、「お、落ち着いて、きき、聞いて、ほほほ、欲しい、いい、い……」「だからお前が落ち付けって……」「い、いいからアンタは黙ってて!!」 その噛みつかんばかりの剣幕に、上条は「お、おう」とそれきり黙りこむ。 その間に美琴はもう数回深呼吸をしてから、「わ、私ぃぃぃぃぃぃ……」 と、ばねが力を溜めこむ様に体を折り曲げたかと思うと、「か、彼氏が出来たのッ!!!」 その時2人の間に衝撃ならぬ雷撃が走ったのだが、それは何時も通りに上条の右手が打ち消した。 そんな衝撃の告白も醒めやらぬまま、美琴は俯いて目をギュッと瞑って体を小刻みに震わせる。その姿は、まるで審判を待つ被告の様だ。 有罪か、無罪か――そして、そんな少女の耳に届いた判決は、「そっかそっか。うん。良かったな、御坂」「え?」 上目遣いに上条を見上げるのと、頭の上に手が置かれたのは同時だった。 そのままポンポンと美琴の頭を優しく叩きながら、「うん。良かった良かった。そっかぁ、お前にも彼氏がねえ」 感慨深げに頷く上条に美琴は「な、何も聞かないの?」と逆に問いただすと、「お前が選んだんだから問題ねーだろ? そうだ、今度そいつを紹介しろよ! な!」 急にテンションを上げる上条に、美琴は「あ、う、うん」と頷いた。 すると上条は美琴に向かって満面の笑みを浮かべると、「約束だからな!」とそう言い残して去って行った。 そして後に取り残された美琴は、何も言えないまま上条の背中を見送った。 やがて完全に陽が落ちても、美琴は呆然とその場に立ち尽くしていた。 そして、辺りに陽の光に変わって人工の光が足元を照らし始めた頃、美琴はぽてっとその場に力無く座りこんだかと思うと、「私、失敗しちゃったぁ……」と落胆の露わに呟いたのだった。 そのままとぼとぼと寮に帰って来た美琴を出迎えたのは、ルームメイトの白井黒子。しかし、この時の白井は何時にも増しておかしかった。「だたい……」「お姉様ッ!!!」 まるで待ち構えていたかのような白井のショルダータックルが、抜けがら同然の美琴の腹部にヒットする。「ごはッ!?」「お姉様、ちょっとお聞きしたい事が御座いますの」「く、ろこ……?」 妙な気迫の上に先ほどの一撃で声も出なければ力も入らない美琴。 そんな彼女をずるずると部屋に引き摺りこんだ白井は、扉に鍵を掛けるとそれを背にして美琴を見下ろした。「お姉様、わたくし聞き捨てならない噂を耳にしましたの」「な、何よ……?」「お、お姉様に、か、かか、彼、ぐほッ!」 先ほどの気迫も何処へやら、突然口元を押さえてへなへなっと倒れ込んだ白井に、驚いた美琴が駆け寄る。「黒子ッ!?」 そのまま白井を抱き起すと、燃えカスの様に生命力を失った白井が、震える手を美琴に伸ばす。「わ、わたくしはもう駄目ですわ……」「な、何を言ってるの黒子ッ!?」「わたくしの、な、亡骸は……う、海の、見える、丘の上に……」「黒子ッ、馬鹿な事言わないでッ!!」「墓碑銘には……『御坂黒子、お姉様への愛を貫き通した女』と……」「黒子?」「あ、後……、最後に熱いベーゼを……んっ、んんんっ……」 そう言って唇を蛸の様に突き出した白井の頭を、美琴は躊躇無く床に落とした。「おふッ!」 痛みを堪えて床の上をごろごろと転がる白井を見下ろした美琴は、深いため息をつくと自分のベッドにダイブした。「アンタその話何処で聞いたのよ?」「それは企業秘密ですわ」 いつの間にか復活した白井が美琴のベッドに腰を下ろす。「どぉーっせ、また初春さんにでもお願いしたんでしょ?」「いえいえ。今回の情報源は……おとと、信用にかかわりますので黙秘させていただきますわ」 その勿体ぶった言い回しに美琴はキョトンとした顔で白井を見上げた。 すると白井はオホンと1つわざとらしい咳払いをすると、「不躾で申し訳ありませんが単刀直入に申し上げさせていただきますわ。お姉様ぁ、いい加減本気でしたら回りくどい真似などせずにまっすぐに行ったら如何ですの?」 その意味が伝わるまでたっぷり一分は経過した後、「ア、アン……」 信じられないモノを見る様な眼で上体を起こした美琴に、白井はベッドから降りて向かい合うと、「お姉様」「な、何よ?」「すぐさま私服にお着替えくださいまし」「な、何……」 訳が判らず唖然としていると、白井は美琴の手を取って、「え?」 美琴が気が付いた時には空中に逆さまに浮いていた。「うわッ!?」 頭をカバーする暇も無く自分のベッドの上に頭から落ちた美琴。「い、つつつつぅ……」 柔らかいクッションの上とはいえ、受け身も取れない落とされ方をしてうめき声を上げる。 すると白井はそんな美琴の手を取って引き起こすと、「ぐずぐずしておりますと、次は裸で外に放り出しますわよ」「いッ!?」 かくして――。「仕度したわよ」「お姉様。もう少しこう、可愛らしい格好は無かったのでございますの? それでは『男』に間違えられても言い訳できませんですわ」「う、うっさいわね! 普段必要無いから殆んど実家に置いてあんのよ。で、私を着換えさせてどーするつもりよ?」 どう言う理由か撃沈していた所に、期待しないまでもちょっとは慰めてもらえるかと思った白井からの数々の仕打ち。 それらが相まってご機嫌斜めどころの騒ぎじゃ無い美琴の今の服装は、何処にでもある様なプリントTシャツに、短パン、何時ものルーズソックスと言う出で立ち。 しかも帽子を目深に被っているものだから、発展途上の身体と相まって、確かに男と間違えられてもおかしく無い。「ま、いいですわ。あの殿方も見た目を気にする様な方ではございませんし」 ため息交じりに白井が零した言葉に、美琴はギョッとした。「ア、アンタ、い、今、な、何て……」「殿方、と申し上げましたの。いえ、判り易く上条当麻さんと言い直した方がよろしいですわね」 美琴はその名を聞いても白井が何を言いたいのか理解出来なかった。 ただ、こうして着換えさせられた理由が上条に関わりがあると言うだけで、心臓の鼓動が倍も速くなる。「顔が赤いですわよ?」「う、うっさいわね。よ、余計なお世話よ」 図星を指された様な気がして咄嗟にそういい返すと、白井は何故だか悲しそうに笑って、「確かにお節介ですわよね。こうして今から敵に『塩』を届けようと言うんですから……」「え?」 『塩』とは何の話をしているのか――そう問い返そうとした時、それより一瞬早く白井の手が伸びて、気が付けば美琴は白井と共に寮の外に立っていた。「はいお姉様、靴」「あ、ありがとう」 訳も判らず靴を手渡された美琴は、取り合えずその靴を履く。 そして美琴の準備が整った所で、白井は全ての種明かしをした。「はい。それじゃあお姉様。今度は変に回りくどい真似などぜずに、真っ直ぐ殿方にぶつかって下さいまし。殿方の事ですから、きっと悪い様にはなりませんですわ」「え?」「彼氏が出来たなどと嘘をついて殿方の心を揺さぶってみようなどと……はぁ、わたくしのお姉様には不釣り合いで滑稽な作戦ですわぁ」 その言葉で全て事に合点がいった。「アンタ、知ってたのね」「ええ、まあ。夜な夜なあれほどリハーサルをされては気が付くなと言う方が無理と言うものですわ。ま、ちゃんと裏も捕りましたんですのよ」(と言う事は佐天さんの入れ知恵だと言う事もひっくるめて全部コイツにバレバレな訳ね……) 美琴は余りの恥ずかしさに両手で顔を覆うとその場にしゃがみこむ。「死にたい……」「全く……、死にたいのはこっちの方ですわ」「え?」「大事な大事なお姉様の為と思えばこそ、我が身を裂かれる思いも耐えられるかと思いましたのに……。ええい、くそッ、ですわ! 何であんな類人猿にお姉様がお姉様がお姉様がお姉様がッ!! お姉様ああああああああああああああああああああ!!」「く、黒子?」 美琴は、突然に感極まって抱きついて来た白井に捕まってしまう。 だが、ここから何時もの様な頬ずりが始まるかと思いきや、白井はすすっと身体を放すと、「いけませんわね。目的を忘れる所でしたわ」 そしてある方向を指さす。「さあお姉様、リベンジですわ」「黒子……」「常盤台一のエリート、いえ、わたくしのお姉様が負けどおしで居られる筈も有りませんですわ。さあ今一度わたくしの為、お姉様ご自身の為に立ち上がって下さいまし!!」 その言葉に美琴はコクッと頷くと走り出す。 その姿はあっという間に夜の帳の中に消えて行き、路上には白井1人が取り残された。「何ですかしら、この高揚感。まるでわたくしが告白するかのようですわ。いえ、むしろこの後撃沈したお姉様を……、いえいえお姉様が失敗など……。となればヤルのは殿方、と言う事になりますわね……」 そうひとりごちる白井の頬に不敵な笑みが浮かぶ。「相手にとって不足無し。どう転んでも勝算は我にあり、ですわよ、と、の、が、た、さん♪ うふ、ふふふふははははははははははああ!!」「ううっ。今寒気がしたけど……、夏の夜風も馬鹿にならねえなぁ」 そう独り言を呟く上条は、1人でベランダに出て夕涼みをしていた。 部屋の中ではベッドの上でインデックスが既に寝息を立てている。 無事、インデックスに襲われる事も無く食事をさせ、風呂にも入れて、自分が風呂から出て来た頃には、少女はもう半ば夢の世界の住人だった。 まだ眠く無かった上条は、そんなインデックスを先に寝かしつけた後、こうしてベランダで火照った体を冷ましていたのだ。 ガラス越しに眠る少女のあどけない顔は、上条の心にちくちくとある感情を知らせて来る。 柔らかそうな頬も、唇も、太ももも……。「(い!? いかんいかんいかああああああああああああああああん!!)」 自分の頭をぽかすかと殴りつけて雑念を必死で追い払う。「はあ……。何時まで持つかな俺……。不幸だ……」 そしてベランダに出る時に持って来た缶コーヒーを一口飲む。 甘味より強い苦みが口に広がって、上条はほんの少し顔をしかめる。 そして苦いと言えば、つい数時間前の事が頭を過ぎる。 ――彼氏が出来たのッ!!! その時飲み込んだ感情は、きっとこのコーヒーよりもずっと苦い。 とは言えそれを何と表現すればいいのか、上条のボキャブラリーにそれに当てはまる様な言葉は見つからない。「娘が嫁ぐ時? いや、妹に恋人が? あ、父親に新しい母親……うう、そんな物騒な……ナンマンダブナンマンダブ……」 そんな捕りとめも無い独り言のさ中にも、今日何度目かのため息が漏れる。「はぁ。何だろうなこの気持ち。誰かカミジョーさんに説明して下さいよ。お星さまお星さま、どーかカミジョーさんの御悩みを聞いて下さいまし」 天に向かって真剣に手を合わせる高校生がここに1人いた。「なんてな。それでどーにかなるんなら、今頃俺は幸福の絶頂だっつーの」 ところが、その時奇跡が起きたのだ。「悩みって何よ?」 唐突に声が聞えた。「え?」「だから悩みって何よ?」 上条は我が耳を疑う。 しかし、ちょっとした間に色々な体験をして来た上条にとって、不思議な事はもう日常茶飯事と言えた。 むしろ普通が懐かしい位だ。「え、悩み事聞いてくれるのか?」 天に向かってそう言うと、「聞いてやらなくもないわね」「何か横柄だな。でも、この際いいか。いや、待てよ。待て待て待て」 何やら余りに都合が良いので、上条の不幸センサーが何かをキャッチした様だ。「1つ聞いていいか?」「何よ」「御坂のスリーサイズを教えてくれ」「うっ、上から××、△△、○○……」「すげ、当ってる」「当ってるって何でアンタがそんな事しってるんじゃああああああああああああああああああああああああああ!!」「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!」 本日3回目の突然の雷撃に驚いた上条は、その雷撃は打ち消す事には成功したが、バランスを崩してベランダから落ちた。「嘘!?」 逆さまになった世界にそう呟くのが精一杯で、後は重力に従って路面まで一直線――とは行かなかった。 ガクンと身体が引っ張られたかと思うと、上条の体は階下のベランダに放り出されていた。「た、助かった……」 すると、逆さまになった上条の隣に誰かが降り立った。「だ、大丈夫なのアンタ!?」 先ほどのお星様と同じ声で話すシルエットに、「助かりましたお星様」「何馬鹿な事言ってんのよアンタ。私よ、わ、た、し」「へ?」 そう言われて改めて良く見た上条は、「き、君の様な男の子に知り合いは居ま――」 と最後までいい終えない内に一筋の雷撃がバチッと上条目掛けて飛んだ。「うおッ!? つかお前、御坂か!?」「正かーい」 そう言って帽子を脱いだ美琴は、髪を整えて帽子をかぶり直すと、逆さになったままの上条に手を貸して起こした。「わ、悪い。てかさっきのお星様もその後の雷撃も……」「私よ。てかさっきの質問は何!? 何てアンタ私の……」 とそこまで言って美琴は恥ずかしさのあまり押し黙ってしまう。「えと……、この間お前の鞄の中身がぶちまけられた時……」「あ、あん時か!? あんな一瞬でか!?」「いやあ、興味深い程に憶えやすい数――」 またも最後まで言わせず電撃がバシッと上条に向かって飛んで行く。「うおッ!? す、すまん!! ごめん!! マジで悪かった!! すぐに忘れますからこれこの通りご勘弁下さい!! 御坂様!! 御坂大明神様!!」 電撃を消してから、土下座に入るまでの何と素早い事か。 思わず唖然としてしまった美琴に、上条は恥も外聞もかなぐり捨てて額をベランダに擦りつける。「い、いいわよもう! 別に減るもんじゃないんだし!」 と美琴が言った途端に立ち上がった上条は美琴の両手をがっちりと握りしめ、「あ、ありがとう! ありがとうありがとう! 本ッ当にありがとうございます!!」「んなっ!? い、いいわよもう……だから放して……」「あ、悪ぃ……」 その言葉に上条が慌てて手を放すと、何故か美琴は名残惜しそうに「あっ」と声を上げた。 その声に上条も美琴も同時に赤面してしまい、恥ずかしくてお互いの顔が見られなくなる。 とは言えこのままでも居られないので、「なあ御坂」「な、何?」「どうして来た?」 すると、美琴は暫く返事を躊躇った後、「アンタにね……、話があるの……」 その余りに勿体ぶった言い方が上条の心に妙に引っかかる。「わ、悪い話じゃないだろうな?」「それは、アンタ次第……」「俺次第、か」 とそこまで言った所で、2人は同時に吹き出した。「何かあれだな」「既視感(デジャブ)」「そう。それだ!」「てか今日のやり取りだから既視感とは呼ばないわよ」「まあいいじゃねえか。お互い話は通じた訳だし」 そうして暫く捕りとめも無い話に花を咲かせた2人だったが、「そうだ! さっきの話」「ああ、あれ? もうどーでもいいんだけど。でも、手ぶらじゃ黒子が許さないわよねぇ。ああ見えて感も鋭いし……」「何だ? 白井がどうした?」 美琴はチラリと上条を見た。 相変わらずのツンツン頭も、今は少ししんなりしていて、シャンプーの香りと相まって、風呂に入ったばかりだと知れた。 ぼんやりとした顔はどこにでもいる、百羽ひとからげの高校生でしか無いのだが、「何でコイツだったのかしら……」「何が?」 と話を聞こうと少しだけ身を乗り出した上条。その寝巻の胸倉を美琴がグイッと握りしめた。「へ?」 続いて片方の脚の膝裏に器用に踵を引っ掛けると、グイッと脚を引いた。「うおわッ!?」 当然膝が折れてバランスを崩した上条は、襟首を支点に半回転しながら倒れ込む。 そして気が付いた時には、美琴の膝の上に頭を乗せて天を見上げていた。「あの時と一緒ね。違うのは……お互いの服装くらいか」「御坂……」「彼氏の話ね。あれ、嘘なの」「そっか……」「驚かないのね。それとも驚いて声も出ないとかかしら?」「どっちも合ってるかな。で、何でそんな嘘を付いたんだ?」 すると美琴ははにかんで、「聞かないで。自分でも恥ずかしいから」「そうか。じゃあ何も聞かない」「うん」 そして本当に自然に、当たり前の様に、美琴は上条の唇に自分の唇を重ねた。 ほんの一瞬、本当に触れ合っただけのキス。 そして美琴は唐突に上条を膝の上から床の上に落とした。「うがッ!?」 そして声も無く蹲る上条を尻目にベランダの柵に軽々と飛び乗ると、「今夜の所はそれで勘弁してあげるわ。明日から楽しみにしてなさい」「ちょ、おまッ!?」「バイバイ♪」 そして投げキッスを1つ残して美琴の姿はベランダの向こうに消えた。 上条は慌てて立ち上がって階下を目を皿の様にして探したが、美琴の姿所か痕跡1つ見つけられない。 その場にへなへなっと座り込んだ上条は、美琴の唇が触れた所を自分の指で触れてみた。「何ホッとしてんだ俺? これから何が起きるか判んねえっつーのに」 そしてよいしょっと立ち上がると、頭を掻きながらこう呟く。「取り合えずここからどう帰りましょうかねぇ。はあ、御坂と関わると……、不幸だ」 しかし、ニヤリと笑ったその顔に、その言葉ほど悲壮感は感じられなかった。「その宣戦布告。受けて立つんだよ短髪……」 上条を取り巻く日常は、今日も明日も明後日も、何一つ変わる事無く何時も通りの不幸(へいおん)で彩られているのであった。END